FAQ
1.SEI-QoL面接をはじめるにあたって (3)
何を準備すればよいですか?
SEIQoL-DW日本語版事務局およびSEIQoL-DW日本語版ユーザー会への登録をお願いします。
日本語版SEIQoL-DW用にはDISC(日本語版)(ディスクはCD-ROMではありません)が必要です。実費として1500円を銀行に振り込んでいただければ事務局よりご送付します。
調査者の職種は決めたほうが良いのですか?
医師、看護師、薬剤師、MSWなど職種の制限はありません。臨床心理士などに入ってもらうのも良いでしょう。いずれも、基本的な面接のスキルがある方で、SEIQoLの研修をした方がベストです。
臨床研究を行う場合は、経時的にとる際に同じ面接者が対応する必要があります。
直接ケアをしている人が調査しても良いのですか?
看護師など直接的ケアをしている人が面接者となった時、回答に影響する場合があります。しかし、実際のケアを深めるためにはとても有効な方法です。
一方、臨床研究において行う場合は、どのような関係がある方が面接したかを明文化すると同時に、得られた結果の意味を考察する必要があります。
それを回避するためには、ケアチームとは独立した別の方に面接してもらうとよいでしょう。
2.SEI-QoLの説明時の疑問 (1)
導入文章が難しいので、分かりやすく言い換えても良いですか?
理解できるように分かりやすく言い換えても良いですが、条件として、面接者自身のSEIQoLについての十分な理解が必要となります。
SEIQoLの重要なポイントは、面接を通して、患者さん自身により、生活領域を構成してもらい、キューとして患者さんの言葉で命名してもらうことです。そして、患者さん自身が、それぞれの生活領域が「うまくいっているか・満足しているか」の評価をVASでおこない、それぞれの生活領域の相対的な重み付けの評価をカラーディスクで決定することで、個人それぞれのQOLが評価されるということです。
面接者が媒介となり、それらを聴き取ることで、患者さん、ご家族のケアに役立ててる情報とするということを伝える必要があります。
3.キューに関する疑問 (5)
5つのキューを上げるのが難しい場合、提案リストを用いて良いですか?
はい。提案の必要がある場合は、既に回答者が挙げたものを除き、提案リストを用いてかまいません。
回答者が上げたキューが適用できるかどうか不安ですが…。
具体的なもの、人ではなく、大切な領域・大切な事柄であることが重要ですので、そのように促すと良いでしょう。
キューの重みが全て同じと答えられたら、どうすれば良いですか?
カラーディスクを動かせない場合は動かしてみてください。20%づつになっていたら、キューの重みはすべて同じということです。
カラーディスクはパイチャートのVASなので、あくまでも視覚的に評価してもらうことが重要です。
キューが「妻」など特定の人でも良いのですか?
一般に、SEIQoLのキューとしては人そのもの、ものそのものは望ましくないとされます。
「うまくいっているか・満足しているか」の評価がうまくできないからです。しかし、キューが人、ものの名称であっても生活領域としての定義がなされていて、患者さんがVASで評価できる場合は大丈夫です。
なお、別離したり、死別された場合や喪失された機能、ものであっても、その人の心に占めていて生活の質に影響をあたえていればそれはその方の重要な生活領域といえます。
「歩きたい」というキューは適切ですか?もう少し置き換えとして誘導した方が良いですか?
「歩きたい」ということばの意味から、生活領域を聴き取り、患者さんに定義してもらいます。
その上で、その領域を「歩きたい」というキューとして命名することは問題ありません。
4.面接技法に関する疑問 (4)
関係性が悪い人にこうした内容は話したいでしょうか?
その通りです。あくまでも、面接者としての良い関係性が前提となり、SEIQoLの面接は実施可能です。
キューを明確に定められない時、提案リストによって誘導していないか不安なのですが…。
自分にとって、重要な生活分野を人は通常意識して生きてはいませんが、面接者のSEIQoLの面接を媒介にして深めてもらい、言語化してもらいます。
面接者は意味を聴き取っていき、意味がわからないときは、質問したりして、回答者(患者さん)が言語化したり、意味づけたりする作業を助けていきます。
生活領域が決まってきたら、その名称をキューとして患者さん自身の心にぴったりとする言葉を回答者(患者さん)自身に選んでもらうとよいでしょう。
誘導でなく、上手くキューを引き出すにはどうしたら良いですか?
面接者はキューの名称を引き出すことばかりに集中せず、回答者から、大切な生活領域を聴き取るなかで、具体的な意味を理解する媒介となるとよいと思います。
回答者自身が意味を理解できない場合は、回答者自身が理解できるような言葉になるように、「それはどのような意味なのですか?」というように促してみます。
そうすると回答者は自分にとって大切な生活領域が言葉で明らかとなり、キューの命名も容易になります。
話が脱線し、時間がかかってしまうのですが…。
回答者が話しやすい環境をつくることは重要ですので、ある程度の脱線は許容されます。
SEIQoLの基本的なステップの順序は守る必要があり、変えてはいけません。そうすると大きな脱線・逸脱がおきなくなることがわかります。面接者と回答者の人としての自然な会話をおこなう中で、回答者の理解度や内容の妥当性を面接後に評価することがマニュアルの中には位置付けられています。
5.SEI-QoL全般についての疑問 (3)
円盤(ディスク)が動かしにくいのですが…。
最初各色が示す領域をすべて20%になるようにしておきます。そこから動かしはじめます。計測するときは、それぞれを動かし、ゼロ点にあわせて計測します。手指の障害がある方が回答者の場合は、面接者が代わりに動かしてあげます。
動かしにくいディスク、不良品ももあるかもしれません。その際は事務局にお問い合わせください。
どの程度の周期で実施した方が良いのですか?
決まりはありません。どのようにQOLを評価したいかという意味づけに依存します。
たとえば、あるケア介入におけるQOLの変化をみたいという際には、その前とその効果がでるころに実施します。
身体障害の変化に対応して、QOLが変化したかを評価したい場合は、身体障害が変化するタイミングやそのような時間間隔でQOLを評価します。
その人の人生の歩みの中でQOLがどの様に変化したかを見たい場合は、人生のイベント毎に評価する。このように、考えるとよいと思います。
健常者の方にもSEIQoL-DWは使えますか?
SEIQoLは健常者でも患者でも大変意味があるQOL評価です。
介護者などに対しては特におこなう意味があります。SEIQoLを行える回答者の条件は「言葉で概念を組み立てる能力があり、作業記憶(ワーキングメモリ)が保たれている」方です。ほとんどの方は問題がありません。しかし、不安で混乱している場合、幻覚がある場合、失語症などでは言語による概念化は十分にできませんし、作業記憶のキャパシティが低下するアルツハイマー病の場合は、キューを保持することができなくなります。これらの場合は、科学的な妥当性が低下しますし結果も不正確になります。
しかし、たとえ、結果は不十分であっても、SEIQoLの面接によって、多くの患者さんは、満足感やケアの質の向上をえられるので一概に禁止されているわけではありません。対象の状況を慎重に判断しながら、SEIQoLを使ってみていただければと思います。